フィラエ〜フィラエ〜ララ!跳ねすぎちゃった・・・!

人類史上初!彗星への軟着陸・・・でも・・・

 日本時間2014年11月13日01:03、ヨーロッパ宇宙機関ESAの彗星探査機ロゼッタから切り離された探査装置フィラエ(※フィラエは、ロゼッタ石とともに古代エジプト神聖文字の解読のカギとなった神殿の名前)が、人類史上初めて彗星に着地しました。
 これまでディープインパクト探査機が彗星に弾丸を撃ち込んだり、スターダスト探査機が彗星から放出されたチリを持って帰ってきたり、ハートレイ第2彗星に探査機が接近してクローズアップ写真を撮影したり、ということはありましたが、探査機(装置)そのものを彗星に着陸させたのは、今回が初めてです。

 彗星(ほうき星)は小惑星と同様、太陽系がどのような物質からできたのか、地球の水や有機物の起源はどこにあったのか、といった太陽系誕生の歴史をひもとく上で重要な天体です。
 彗星(ほうき星)は雄大な尾をもつ印象が強いですが、その本体は“汚れた雪玉”とか“凍った泥団子”などと呼ばれています。 砂粒や泥と氷やドライアイスが混じったもので、太陽の熱で蒸発してガスやチリを激しく放出し、尾をつくります。

 ところが、今回フィラエが撮影したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面の様子を見ると、砂や石、岩だらけで、なんだか小惑星とあまり変わらないような感じです。

 チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)は比較的短い6.5年の周期で楕円軌道を公転する彗星です。
 おそらく、何度も太陽に近づくうち、揮発性物質の大半を失い、彗星としての活動を終えつつあるのでしょう。 揮発性物質をすべて失ってしまえば、小惑星と区別がつかなくなります。

 ところで、フィラエは彗星に着地する際、本当はアンカーを撃ち込んで固定するはずでした。 ところが、どうもアンカーを発射できなかったようです。 フィラエは1回目の着地では固定できず、1kmも跳ね返って、さらにもう1回跳ねてから、当初の着陸予定地よりずいぶん離れた窪地のようなところにはまり込みました。

 フィラエの主電源である電池はすでに切れました。 探査を続けるためには太陽電池に日光が当たる必要がありますが、窪地なので、1日に1時間半ほどしか太陽光が当たらず、なかなか充電できません。

 がんばれ!フィラエ・・・また日が当たるまで・・・

★原文は英語ですが、ESAのプレスリリースをご覧ください。

2014.11.15記(石坂

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