これはすごいぞ、酸化チタン Part2 |
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酸化チタンの話、Part1ではTiO2が、有害な化学物質を分解するという話をしました。今回は、TiO2のもうひとつの特性「親水性をもつ」ということについて解説をしてきましょう。 風呂場のガラス 風呂場にガラスがある方がいらっしゃると思いますが、使い勝手はどうですか?はっきり言って使いたい時に使えないという役に立たないものベストテンの一つにノミネートしたくなりませんか? これは、ガラスの表面に水蒸気や湯気が水滴となって、ガラスを覆ってしまうからですね。ところが、ここにTiO2を含む特殊なフィルムを貼るとガラスが曇らなくなります。なぜこんな事がおこるのでしょうか。 写真は、お湯を入れたビーカーの上にTiO2をコーティングしたフィルム(左)と普通のガラス(右)を置いたものです。わかりにくいですが、ガラスは曇ってもフィルムの方は曇りません。 TiO2の親水性 TiO2は非常に水となじみやすい性質を持っています。例えば、プラスチックなどの樹脂では水滴がつくと70〜90度くらいで、テフロンなどの撥水性樹脂では90度以上にもなります(図1)。
ところがこのTiO2があると、最初のうちは数十度あった接触角が徐々に小さくなっていき、最終的には0度になります。すると水は水滴を作れず、その表面に水の膜を作り、流れてしまうことになるのです。
この現象のもとなっているのがTiO2の親水性という特性です。TiO2は紫外線を受けると周りにある水と反応して図2のようになります。ここで、上の方に伸びているOHというのは水酸基といい水と非常になじみやすい性質を持っているのです。ここに水がくると水酸基があるので、水滴になることなくその面に一様に膜状に広がり、曇らなくなります。また、その表面には、O2−など活性酸素も存在します。 親水性を持つTiO2は、水を膜状にして流してしまうので表面についている汚れがつきにくいのです。さらに親水性ですから油とはなじみにくいということになり、油汚れもつきにくいのです。そのため、TiO2はガラスの曇り止め以外にも、外壁などにコーティングすることで、汚れにくい壁などを作ることができます。そして壁以外でも、車のボディーや、ビニールハウス等でも使われるようになりました。
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