これはすごいぞ!酸化チタン Part 1
TiO2(酸化チタン)、この物質の名前を聞いた事がありますか?
白色顔料や化粧品、食品などにも使われる物質ですが、
今とても注目を集めています。
それはTiO2が、
- 有害な化学物質を分解する
- 親水性をもつ
という2つの特性を持っており、その作用のおかげで、
私達の暮らしに役立っているからです。
今回は、1について解説しましょう。
- 有害な化学物資を分解する
車から出る排気ガスには有毒なSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)などが含まれている場合があります。
TiO2はこういったガスを分解して硫酸や硝酸に変化させ、大気中から除去してくれます。
また、シックハウスの原因になっているCH3CHO(アセトアルデヒド)、
NH3(アンモニア:トイレの臭い)やH2S(硫化水素:腐った卵の臭い)
といった有毒なガスも分解します。
これは、TiO2が持つ触媒作用のお陰なのです。
触媒は、それ自身は変化せず化学反応を起しやすくする性質を持っています。
TiO2に日光(紫外線)をあてると、とても強力な触媒になるのです。
- TiO2の中で何が起きている?
TiO2の内部にできた電子とホール(電子が抜けた空隙)によって、
その近辺にあるO2は還元されO2−(スーパーオキサイドイオン)に、
水は酸化され・OH(水酸基ラジカル)としてその表面に捕獲されます
(図)。
O2−や・OHはいわゆる活性酸素で、
他の物質と非常に反応しやすい性質を持っています。
TiO2の表面につくられた活性酸素にSOxが触れると硫酸へ、
NOxが触れると硝酸となるのです。
現在いろいろな自治体で実験をしており、千葉県市川市では一般道路に、
神奈川県川崎市では歩道にTiO2まぜて、
どのくらい車の排気ガスが浄化できるかを試験しています。
建物の壁や道路にTiO2をコーティングしたり、埋め込んでおくと環境浄化に役立ち、
家の中の壁にコーティングしておけばシックハウス対策にもなるわけです。
ただし、TiO2が激しく汚れたりするとこの効果はなくなりますし、
時間と共にその作用も落ちていきます。そして当然ながらコストの問題も…。
さて、科学館の北東では現在関西電力の新社屋建設工事が始まっていますが、
そこを覆っている白いパネルにはTiO2が使われています。
この壁、空気をきれいにするためだけにTiO2を使っているわけではありません。
TiO2にはもう一つ秘密があるのです。それは、また次回・・・。
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