銀河中心巨大ブラックホールと大規模構造の奇妙なユニゾン
ヨーロッパ南天文台ESOの巨大望遠鏡VLTを使った観測で、とても奇妙な"そろい踏み"が報告されました。
銀河中心の巨大ブラックホールであるクェーサーの自転軸(今回、研究者たちは巨大ブラックホールの周りにできる渦に反射された偏光を観測しました)が、数10億光年にもわたる銀河のネットワーク"宇宙の大規模構造"の向きと一致していたのです。
クェーサー本体の大きさは、たかだか数光年ですから、スケールが10億倍!も違う場所が、お互いに関係しあっていることになります。
これはとてもフシギなことです。
理由はよくわかりませんが、これまでの研究から推測されるのは、次のようなことです。
- 銀河は、大規模構造に沿って落ちてきた小さな銀河が合体して成長する。
- 銀河中心の巨大ブラックホールの大きさは銀河の質量に比例する。
- 銀河中心の巨大ブラックホールも銀河の合体にともなって成長する。
- 小銀河が多数合体する際、衝突が多く起きる方向の角運動量は相殺されるので、銀河の自転軸は大規模構造に沿うようになる。
- 重力の効果により銀河中心の巨大ブラックホール(の周りの渦)の回転軸が、銀河の自転軸と揃っていく。
- 巨大ブラックホールの自転軸が大規模構造の方向に向く。
もしこの仮説が本当であれば、今回の観測結果は、宇宙における全くスケールの違う大規模構造と銀河と銀河中心巨大ブラックホールの形成が密接につながっている証拠となるのです。
★原文は英語ですが、ESOのプレスリリースをご覧ください。
2014.11.26記(石坂)
|