宇宙開闢の瞬間に迫る

インフレーション宇宙の直接的証拠が観測された!

 138億年前、ミクロ(量子的)な時空として誕生した宇宙は、インフレーションという非常に急激な膨張を経て、広大(マクロ)な宇宙へと変貌を遂げました。
 少なくとも、理論上はそう信じられていますし、これまでも、このインフレーション宇宙論に反する観測はありませんでした。

 ただ、インフレーション宇宙論の直接的な証拠も、あったわけではありません。

 今回、ハーバード・スミソニアン宇宙研究センターの研究者チームが、インフレーション宇宙の初めての直接的証拠を観測した、と発表しました。
 量子的宇宙には、非常に小さな「ゆらぎ」が内在していました。
 この「ゆらぎ」がインフレーションによって、大きく引き伸ばされ、現在、宇宙に存在している天体の"種"となりました。
 
 「ゆらぎ」がインフレーションによって大きくなる際、空間のゆがみが「重力波」という波になって宇宙を伝わっていきます。
 インフレーションが終わって、宇宙に光が満ちあふれる(この瞬間が「ビッグバン」です)と、その光が重力波によって偏りを生じます。

 ハーバード・スミソニアン宇宙研究センターの研究者チームは、この重力波によって生じた光の偏り(宇宙背景放射の偏光)を検出したのです。
 もともと宇宙背景放射は非常に弱い上に、さらにその偏光を検出するのは至難の業です。
 研究チームは、地上でもっとも乾燥し(空気中の水蒸気は宇宙背景放射を観測する上で、最大の邪魔者です)、空気が安定している(空気のゆらぎも、光をゆらがしてしまいます)南極の観測所で得られたデータを、3年もの時間をかけて慎重に解析し、今回の発表にいたりました。

 ついに人類は、これまで決して見ることのできなかったビッグバン以前を見ることができるようになったのです。
 これはエープリルフールではありません・・・!

★原文は英語ですが、ハーバード・スミソニアン宇宙研究センターのホームページをご覧ください。

2014.4.1記(石坂

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