青色巨星、銀河場外ホームラン! |
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漂流する青色巨星「それはそれは、遠い昔、1億年前のことじゃった。仲のいい3連星が、にぎやかな天の川銀河の中心を旅していたときのこと。 3連星の運命は、数奇な分かれ道に入ってしまったのじゃった・・・」 おとぎ話のようですが、ハッブル宇宙望遠鏡HSTの観測によって、こんな状況が起きていることがわかりました。 時速250万km(秒速700km)という超高速で天の川銀河の外側を移動する"爆走星" HE0437−5439の軌道を、HSTが正確に決定し、逆にたどってみたところ、天の川銀河の中心部に行き当たりました。 しかし、これまでは、HE0437−5439は、大マゼラン雲から飛び出したのではないか、と考えられていました。 なぜなら、ふしぎなことに、この爆走星HE0437−5439が太陽9個分の質量を持つ青色巨星だったからです。 こうした青色巨星の寿命は短く、2000万年ほどで超新星爆発を起こします。 一方、天の川銀河中心から、現在のHE0437−5439までの距離は約20万光年で、いくら爆走星をいえども、移動には1億年ほどかかります。 なぜ、HE0437−5439は超新星爆発を起こして消えてしまっていないのでしょう? そして、そもそも、なぜHE0437−5439は、こんなにも速いスピードを出しているのでしょう? どうやら、こういうことらしいです。 もともと3つの星が互いの重力で引き合ってまとまっていた3連星が、たまたま天の川中心を通りかかったとき、 中心部の巨大ブラックホールによって、一番外側にあった星が奪い取られ、その反動で、 残りの2星の近接連星になり、猛烈なスピードで天の川銀河の外側にはじき出された。 はじき出された近接連星は、やがて1つの青色巨星になった。 このような状況は、10万年に1回くらいの割合で起きていると、見積もられています。 ※原文は英語ですが、HSTのプレスリリースをご覧ください。 2010.7.25記(石坂) |