シュワスマン・ワハマン第3彗星 |
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見えるか!?ほうき星今、周期彗星73番=シュワスマン・ワハマン第3彗星(SW3)が注目を集めています。SW3は約5年5ヶ月の周期をもち、木星軌道付近から地球軌道内側に入り込むような楕円軌道を巡っています。 SW3はそれほど明るくない彗星ですが、1995年、予想外の明るさになりました。 彗星の中心核が分裂して、揮発性物質(水、ガス等)が大量に噴出したのです。 彗星は「汚れた雪だるま」あるいは「凍った泥団子」に例えられ、内部は有機物や気体、大量のチリを含んだ氷からできています。 太陽に近づくと氷が解け、コマと呼ばれるガスの広がりをつくります。 これが太陽光を散乱し、明るく見えます。 核が分裂すると、それまで太陽に当たったことのない"新鮮な氷"がむき出しになり、より大きなコマをつくることがあるのです。 実は今年の4月上旬に、SW3の核のいくつかがさらに分裂し、全部で40個以上の大小さまざまな"小彗星"になりました。 写真はヨーロッパ南天文台ESOが撮影した、SW3の分裂した核の一つ"B核"です。 よく見ると、さらにいくつかの小さな塊に分裂しているのが分かります。 まるで紅茶カップに落とし入れた角砂糖が溶けて砕けていくような感じです。 B核の明るさは、より大きな"C核"に匹敵するぐらいに増加しています。 はたして分裂はさらに続いて、もっと明るくなるのでしょうか? SW3は5月11−14日に地球に最も接近し(約1200万km:月までの距離の30倍くらい)、明るくなります。 明るく、といっても最大のC核で3等位と予想されています。 星とちがい、彗星はボーっと広がっていますので、街灯かりのない条件の良い空で、慣れた人が見ないと、肉眼では分からないかもしれません。 観察するには双眼鏡があるとよいでしょう。 ただ、とても残念なことに、一番明るくなる13日前後はとても明るい月があり、淡い彗星を見るのは難しくなっています。 2006年5月中旬までのSW3のC核の位置は下図の通りです。 B核はC核の北側に少し離れています。 接近する12日前後には、夏の大三角あたりにあり、真夜中、東の空に見えます。 双眼鏡を手に、挑戦してみてください。 ※原文は英語ですがESOのプレスリリースをご覧ください。 2006.4.27記(石坂) |