プラネタリウム「めぐる北極星」のちょっと詳しい解説 |
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2001年 3月から公開しているプラネタリウム番組「めぐる北極星について質問が多いので、ちょっと詳しい解説を書きました。
星々は地球が自転することで1日1回転します。北の夜空にカメラを向け、数分間以上シャッターをあけっぱなしにすると、その様子を写真に撮影できます。この写真を見ると回転の中心があることがわかります。地球の回転軸=地軸の延長線上、つまり天の北極です。この天の北極にあるのが北極星=こぐま座α星ポラリスです。 回転の中心である天の北極は動きません。2500年前の中国の思想家、孔子は「政を為すには徳をもってすれば、たとえば北辰のそのところに居て、衆星のこれに共するがごとし」といい、北辰=天の北極のまわりを星がめぐる様に、政治も徳があれば自然とまわるのだといっています。空に動かない場所があるのは古代から広く知られていました。 しかし、現在の「北極星=ポラリス」が北辰ではありません。北辰は何もない場所とされています。また、古代中国の星図を見ると「帝星」というのがあり、北の空にあってほとんど動かないためそう呼ばれたようですが、これまたポラリスとは違う星でこぐま座β星コカブです。ほかには4500年前のエジプトの大ピラミッド時代では、いまの北極星のような役割をしたのは4等星のりゅう座α星ツバーンだったと考えられています。このように天の北極にある星は変わるのです。 これはつまり、地軸の指す方向が円を描くように変わっていくためにおこります。この動きを歳差(さいさ)運動といいます。 プラネタリウムでは、過去や未来の星空を見ながら26000年かけてゆっくりと変化していく地球の雄大な運動をご紹介します。13000年後や13000年前の北極星は何か? プラネタリウムでさぐってください。 参考文献:福島久雄「孔子の見た星空」大修館書店 |