通 信
ファラデーらによる電気・磁気に関する実験結果は、マックスウェルによって数学的にまとめ上げられました。このマックスウェルの方程式は電磁波の存在を予言します。ヘルツによってこの電磁波の存在が実験で確かめられると、やがて電磁波は通信に使われるようになりました。 一方、電線を用いた通信では、音声で会話ができる電話器をベルが発明しました。 このような通信技術の進歩は、地球上の距離感を大きく変えていったのです。
ヘルツの実験装置
電磁波の存在を実験で確かめたヘルツ(1857-94)は、これ以外にも電磁気に関するさまざまな実験を行っている。ここに展示している実験装置は、ヘルツがつくり実験に使用したものを大英科学博物館で再現したものである。
タンジェント検流計(レプリカ)
1878年 ヘルツが21歳のときに、電気に関する実験に用いた電流計。電流を流した電線の近くでは方位磁石の向きが変わるというエルステッドが発見した現象を利用して、電線に流れている電流の大きさを測った。方位磁石の回転角のタンジェントが電流による磁場と地球磁場の比になっていることから、この名が付いた。
熱線検流計(レプリカ) 1883年
ヘルツが設計した交流電流を測定するための検流計。電磁波をアンテナで受けると交流電流が流れるが、タンジェント検流計では直流の電流しか測定できない。そこでヘルツは、電線に電流が流れると電線の温度が上がり電線がわずかに伸びることを利用して、交流電流を測定した。
回転鏡装置(レプリカ) 1887年
静電気を放電させたとき、ウイリアムトムソン(1832-1907)は電気火花が振動することを数学的に導いた。これはフェダーソン(1832-1918)が実験で確かめたが、この回転鏡装置はヘルツがこの現象の再実験に用いたものである。一瞬にして起こる放電現象の過程を、回転鏡を使って引き伸ばして写真におさめて確認した。
マルコーニのコヒーラー(検波器)
1900年
無線通信において電波を受信したことを知らせる装置。最初のコヒーラーは電磁波を受信するとブザーが鳴るなどの動作をした。このコヒーラーはイタリアの電気技師だったマルコーニ(1874〜1937)が改良したもので、電磁波を受信したあと、ふたたび受信できるよう自動的に初期状態に戻るようになっている。
ベルのオズホーン電話
1878年
もともと発声学の研究をしていたベル(Alexander Graham
Bell:1847-1922)は、音声の振動を電流に変えることができれば、音を遠くに速く伝えることができると考え、
1876年に電話機を発明した。1878年、ベルはビクトリア女王の邸宅「オズホーン・ハウス」に招かれ、電話の実演を行なった。これはそのときに使用された電話のうちの1台。
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